この記事を読み終わるころには…
結論
- 営業の成果は、件数より「どう動くか」の設計で決まる
- 成果が出ない営業は、努力が足りないのではなく、動き方の設計が止まっている
- 再現性のある営業は、個人の感覚ではなく、設計と記録の積み重ねでつくられる
営業活動の現場で経験したこと
私はこれまで、個人飲食店専門のホームページ制作会社と、技術者専門の人材派遣会社の2つの現場で、それぞれ異なる形の営業活動を経験しました。
前者では新規顧客の開拓、後者では既存顧客への深耕と横展開が主な業務でした。
業種も規模も異なる2つの現場を経験したことで、成果が出る営業と止まる営業の違いが、より立体的に見えてきました。
件数を増やすより先に、スクリプトを設計していた
ホームページ制作会社での新規営業では、テレアポから商談・契約書回収まで一連を担当していました。
テレアポは「数をかければいい」と思われがちですが、私はその考え方に疑問を感じていました。
理由は単純で、リストは有限だからです。
闇雲にかけ続けると、見込みのある相手を早々に使い切ってしまいます。
そこで意識したのが、トークスクリプトの継続的な改善です。
スクリプト設計で意識した3点
スクリプトとリストの設計を改善し続けた結果、アポイント獲得率は10%未満から75%にまで上昇しました。
件数を増やしたのではなく、一件一件の精度を上げたことが成果につながりました。
人材派遣の営業でも、量より設計が成果を決めていた
技術者専門の人材派遣会社では、自動車部品メーカーをはじめとする製造業の設計・開発部門を対象に法人営業を担当しました。
会社の方針として、既存顧客への増員が主な業務でした。
しかし、既存部署への増員には限界があります。
担当部署が採用を止めれば、売上は頭打ちになります。
そこで取り組んだのが、同じ企業内の別部署への横展開です。
既存顧客の担当者から別部署の責任者を紹介してもらうことで、初対面でも「○○部門と取引がある会社」として話を進めることができます。
社内での認知が積み重なるほど、新規部署での商談がスムーズになりました。
ただし、横展開を続けるには前提条件がありました。既存の配属先で信頼を失っていないことです。
配属した技術者が離職したり、現場でトラブルが起きたりすれば、担当者からの紹介は止まります。
増員を重ねながら組織の安定を保つことが、横展開を続けるための土台でした。
増員の量より、配属の設計が退職率を決めていた
人材派遣の現場で気づいたのは、やみくもに増員しても成果にならないということでした。
技術者を一人ずつ独立して配属し続けると、現場での連携が取れず、孤立感から退職につながるケースが出てきます。
また、些細なトラブルが発生したとき、現場で対応できる人間がいなければ、顧客の信頼を損ねて契約終了になることもありました。
この経験から、増員する際にはリーダーを先に配置して組織として機能させる設計を意識するようにしました。
この設計を意識するようになってから、担当領域の退職率は5%以下を維持し、契約継続・新卒技術者の増員・契約単価の引き上げにつながりました。
結果として、年間3億円規模の契約基盤の構築に営業担当として関わることができました。
配属数を増やすことではなく、配属の設計を整えることが先だったと、この経験から学びました。
2つの現場に共通していた「成果が止まる構造」
業種も規模も異なる2つの現場を通じて、営業活動の成果が止まる場面に共通する構造が見えてきました。
成果が止まる場面に共通していたこと
- 動いているのに、何が効いていて何が効いていないかを記録していない
- 件数や訪問数といった「行動量」で自分の仕事を評価している
- うまくいった経験を次の行動に反映させる仕組みがない
- 担当者個人の感覚や経験に依存しているため、再現性が生まれない
逆に言えば、何が成果につながったかを記録し、設計に反映させ続けることが、個人の感覚に頼らない営業の土台をつくります。
この経験が「営業の仕組み化」というテーマの土台になっています
現在このサイトでは、小規模製造業が直面する「営業しているのに売上が伸びない」という課題を扱っています。
製造業の営業でも、訪問件数を増やすことや展示会への出展を続けることが目的化してしまい、何が受注につながっているのかが見えなくなっているケースがあります。
行動量ではなく設計を見直すという考え方は、業種が変わっても同じ構造で機能します。
この実務経験をもとに、カテゴリ②では小規模製造業の営業の仕組み化について、現場経験と構造の両面から解説しています。

