この記事を読み終わるころには…
結論
- 集客は施策より先に、ターゲット設計で成果が決まる
- 集客導線は「何を伝えるか」ではなく「誰に届けるか」で変わる
- 売上につながる集客は、広告やSEOではなく設計から始まる
ため、施策を増やしても
成果につながらない
新規顧客獲得の現場で経験したこと
個人飲食店専門のホームページ制作会社に在籍していたとき、私は新規営業とホームページ制作の両方を一貫して担当していました。
営業では提案先の選定・テレアポ・商談・契約書回収まで。
制作ではヒアリング・ブランディング・構成設計・ライティング・SEOまでを担当しました。
「集客を支援する側(営業)」と「集客される側の課題を整理する側(制作)」の両方を同時に経験できたことが、現在の考え方の土台になっています。
営業活動は、電話をかける前に始まっていた
新規営業で最初に行っていたのは、電話をかけることではありません。提案する相手を選ぶことでした。
グルメ媒体・エリア・ホームページの有無などをもとに見込み客をリスト化し、次の4つの軸を意識して絞り込んでいました。
ホットペッパー・ぐるなびなどで有料掲載している店舗は、広告宣伝費をかけることへの抵抗感が少ない。「集客に投資する」という判断をすでに一度している相手なので、提案が届きやすい。
② グルメ媒体の新規オープン店舗
オープン直後は集客手段を模索している時期で、複数の選択肢を比較していることが多い。「どれを使うか悩んでいる状態」に提案できると、検討の土俵に乗りやすい。
③ すでにホームページを持っている店舗
ホームページを作ること自体への抵抗感がない。内容が古い・情報が薄いなど、改善余地がある場合はリニューアル提案の切り口が作りやすい。
④ 競合店舗が多いエリアの店舗
集客に苦戦しやすく、他店との差別化に悩んでいることが多い。「なぜ自分の店を選ぶのか」を整理したいというニーズが潜在的にある。
この選定作業を丁寧に行うことで、電話口での話が続きやすくなり、アポイント獲得率が大きく改善しました。
相手の状況と課題を事前に分析せずに電話をかけても、会話が噛み合わず提案に至りません。
営業の成果は、行動量より先に「誰にアプローチするか」で決まっていたと、この経験から実感しています。
商談でも「相手を知ること」が先だった
アポイントが取れた後の商談準備では、訪問先の店舗についてグルメ媒体・口コミ・SNS・周辺地図など、調べられる情報をすべて確認した上で、競合資料・他社比較・自社制作実績をそろえて臨みました。
商談では「相手8割・自分2割」を意識して、店舗側の話を引き出すことを優先しました。
経験が浅かった頃は、教わった通りのトークを進めることに意識が向いてしまい、相手の反応を見る余裕がありませんでした。
断られる恐怖心が先に立ち、相手の話を聞けていなかったのです。
先輩の商談に同行して断られたときの切り替えしパターンを学び、相手の話を引き出す質問を積み重ねる練習を繰り返す中で、少しずつ「この人はうちのことをわかっている」という信頼を得られるようになりました。
成約率が改善したのは、提案を磨いたからではなく、相手の状況と課題を先に理解する姿勢を持てるようになってからでした。
ホームページ制作でも、最初にやることはデザインではなかった
引き寄せる
を増やす
を呼ぶ
ホームページ制作においても、構成やデザインより先に整理していたのは、「この店に来てほしいのは、どんな人か」という問いです。
ヒアリングでは「年末年始の宴会コースを〇件から〇件に増やしたい」といった具体的な目標を店舗と共有することで、ホームページの役割と方向性が明確になります。
目標が曖昧なままだと、何を掲載すれば成果につながるかが判断できません。
店舗の悩みは、一見似ていても内容が異なります。
アクセス数より、価格帯・空間・料理のクオリティを正確に伝えることを優先。「来てほしくない客層を来させない」設計が必要になる。
ランチ利用からディナー利用に移行したい店舗
ランチの情報を削るのではなく、ディナーの利用シーン(記念日・接待・会食)を前面に出す構成に変更する。検索流入のキーワードも変わる。
食事よりお酒を楽しむ顧客を増やしたい店舗
料理写真ではなく、ドリンクの種類・雰囲気・滞在時間のイメージを伝える構成にする。「バーなのに食事目当ての客が多い」という課題は、情報の見せ方で改善できる。
それぞれ課題は異なりますが、共通していたのはターゲットが決まらないと、何を掲載すればいいかが決まらないという点です。
サイトの構成・掲載する写真・書く言葉・検索キーワードの選び方、これらはすべて「誰に届けるか」が決まって初めて設計できます。
ターゲット設計が変わると、成果が変わった
ターゲットを明確にしたうえで設計し直したホームページが、実際の変化につながった事例をいくつか経験しています。
経験した変化の例
老舗日本料理店のリニューアル料理・空間・店の歴史を整理したブランディングと情報設計を担当。「誰に来てほしいか」を軸にホームページ全体を再設計した後、同店はミシュランガイドに掲載され、予約が取りにくい店へと成長しました。
ランチ中心のイタリアンレストラン
ディナーの利用場面と料理が伝わる構成へ変更。ターゲットをランチ客からディナー客に移行させる設計に切り替えた後、店舗側から共有された情報では、客単価が従来の約5倍になったとのことでした。
新規開店のハンバーガー専門店
オープン当初から店舗の世界観・ターゲット顧客・集客導線を整理したうえでWebサイトを設計。その後、店舗は増設と移転を行いました。
これらの成果は、私一人の取り組みだけで生まれたものではありません。
商品・サービスの品質、経営者の判断、スタッフの対応、市場環境など、複数の要因が影響しています。
ただ共通していたのは、施策を実行する前に「誰に来てほしいのか」を整理したという点です。
ターゲットが明確になることで、Webサイトの情報設計が変わり、届く相手が変わりました。
「集客できない」の多くは、施策ではなく設計の問題だった
SEOをする
SNSを始める
展示会に出る
決まっていない
何を見せるか決まらない
どこで伝えるか決まらない
当時の現場で感じていたのは、「集客できない」と相談を受ける店舗の多くが、施策を増やす前の段階でつまずいているということでした。
ホームページを作ったが反応がない。SNSを始めたが問い合わせにつながらない。
広告を出したが来店が増えない。
こうした悩みの多くは、手段に問題があるのではなく、その手段を使って誰に届けようとしているのかが整理されていないことが原因になっています。
ホームページもSEOも展示会も、届ける相手が明確でなければ、何を書けばいいか・何を見せればいいかが決まりません。
集客とは、できるだけ多くの人を集めることではなく、来てほしい相手に選ばれる状態をつくることだと考えています。
この経験が「新規顧客が増えない」というテーマの土台になっています
現在このサイトでは、小規模製造業が直面する「新規顧客が増えない」という課題を扱っています。
業種は異なりますが、飲食店での経験から学んだ「ターゲット設計が先、施策は後」という考え方は、製造業の集客・営業・Web活用においても共通する構造です。
展示会で名刺を集めても商談につながらない。
ホームページのアクセスが増えても問い合わせがない。
こうした課題の背景にも、「誰に届けるか」が整理されていないことが関係していることがあります。
この実務経験をもとに、カテゴリ①では小規模製造業の新規顧客獲得について、現場経験と構造の両面から解説しています。

