この記事を読み終わるころには…
✓ 製造業ECサイトが「売れない」根本原因を、運営担当者の実体験から理解できます
✓ 「誰のためのサイトか」を問い直すことが、なぜ改善の出発点になるのかがわかります
✓ このサイトで発信している「EC活用・集客設計」というテーマの根拠となる実務経験を確認できます
結論
■ECサイトの改善が成果につながらない時、原因は施策ではなく「誰のためのサイトか」という設計の前提にあることが多い
■アクセスが増えても売上が増えない場合、ターゲットそのものがズレている可能性を最初に疑うべきだった
■現場の一言が転機になる。「外からの問い」を軽く見ないことが気づきの入口になった
よくある対応
SEO対策をして、検索1位を取った。それでも何も変わらなかった。
あなたの会社のECサイトは、今どんな状態ですか。
「ちゃんと動かしているのに、問い合わせが増えない」
「上位表示されているのに、売上に結びつかない」
「そもそも誰が見ているのかすら、よくわからない」
こういった状態が続いているなら、もしかしたら私が経験したことと同じ問題を抱えているかもしれません。
私はかつて、輸送機器関連部品を製造する中小企業のECサイト運営を担当していました。
コロナ禍に開設されたそのサイトは、立ち上げ当初こそ期待されていたものの、時間が経つにつれて社内で「お荷物」扱いになっていきました。
SEO対策を施して検索順位を1位まで引き上げた時期もありました。
それでも、売上はほとんど変わりませんでした。
この記事は、その経験を通じて気づいたことの記録です。
成功談ではありません。
むしろ「なぜ気づくのにこんなに時間がかかったのか」という話です。
この記事は体験記録です。ここで得た気づきをもとにした具体的な解決策は、 集客がうまくいく会社は、広告より先に「誰に売るか」を決めていたにまとめています。
当時の状況:コロナ禍で急いで作られたECサイト
会社の背景
その会社は、主力事業としてBtoB(企業間取引)の輸送機器関連部品製造を行っていました。
長年の取引先に支えられた、堅実な中小企業です。
コロナ禍に入り、企業取引が激減しました。
売上が落ちる中で出てきた選択肢のひとつが「BtoC向けのECサイト開設」でした。
本業で製造している商品の一部を一般消費者向けに販売しようという判断です。
当時の担当者たちが手探りでサイトを作り、商品を登録し、なんとか運営を始めた。
そういう経緯のサイトでした。
引き継いだ時の状態
私がそのサイトの運営を引き受けた時、状況は思っていた以上に複雑でした。
■商品ページが増えるたびに管理方法が変わっており、運用ルールがバラバラだった
■在庫データと実際の在庫が合っていないことがあった
■受注があっても、製造現場との連携がうまくいっておらず、発送が遅れることがあった
■社内では「通販の対応で現場が乱される」という不満が出始めていた
そして何より、売上がほとんどなかった。
広告も打っていない、SEOも手が入っていない、競合サイトとの差別化もできていない。それがこの時点でのECサイトの状態でした。
課題①「まず見てもらえるようにしよう」と思った
最初の問題は明確でした。
そもそもサイトに人が来ていない。
アクセス解析を確認すると、検索からの流入がほぼゼロの状態でした。
「まずここを改善しなければ何も始まらない」と思い、SEO対策に取り組みました。
取り組んだこと
■商品ページのタイトルや説明文を書き直した
■検索されそうなキーワードを調べて、自然に含めた
■複雑になっていたサイト構造を整理した
■不要な商品ページを整理し、主力商品に絞った
数ヶ月かけて作業を進め、結果として狙っていたキーワードで検索1位を取ることができました。
アクセス数は確かに増えました。
課題②アクセスが増えても、売上は増えなかった
しかしここで、予想していなかった壁にぶつかりました。
検索からの訪問者は増えた。でも、購入にはつながらない。
数字で見ると、サイトへのアクセスは以前の数倍になっていましたが、売上はほとんど変わっていませんでした。
当時の思考パターン
転機:「誰のためのサイトか」を問い直した
転機になったのは、ある時期に社内でこんな会話があったことでした。
通販サイトに関する会議の場で、ある製造現場の担当者がこう言ったのです。
「このサイト、うちの会社に本当に必要なんですか?」
嫌みではなく、純粋な疑問でした。
本業は法人向けのBtoB取引。
「そちらが回復してきた今、個人客向けの通販対応で現場の工数を使う意味がある?」
という問いかけでした。
正直、その時は少し反発する気持ちもありました。
「ここまでSEO改善をやってきたのに、なぜそんなことを言われるんだろう。」
そう思ったのを覚えています。
「売上を上げるためです」と言えばよかったのかもしれません。
でも実際には売上は上がっていない。
「将来のためです」と言おうとしたけれど、その将来のビジョンを私自身が持っていませんでした。
問い直したこと
この会話の後、私は一度立ち止まって考えました。
「このECサイトは、何のために存在しているのか」
「この会社が本当に欲しい顧客は誰か」
「検索1位を取って、誰に何を届けたかったのか」
考えてみると、答えはシンプルでした。
この会社が本当に必要としているのは、継続的な法人取引でした。
一般消費者への単発販売ではなく、定期的に発注してくれる企業との関係です。
それなのに私は、「消費者に商品を売るためのECサイト」として改善を続けていた。
誰のためのサイトかを、ずっと間違えていたのです。
仮説と実行:ECサイトを「法人との接点」に変える
サイトの役割を再定義した
変えたこと
■商品ページの表現:「一般消費者に売る」から「企業担当者が試しに購入する」文脈へ。「小ロットから試せます」「サンプルとしてご活用ください」を前面に出した
■同梱物:会社案内・法人向けの連絡先・本発注時の案内を同封するようにした
■KPI:「EC売上」から「法人問い合わせ件数」に変更した
結果:数字より「変化」のほうが大きかった
ECサイト単体の売上という意味では、劇的な数字の変化があったわけではありません。
これは正直に書いておきたい部分です。
一方で、変化したことはありました。
■問い合わせの内容が変わった。「これはいくらですか」という個人的な問い合わせから、「ロットはどのくらいから対応できますか」「定期的に発注したいのですが」という法人らしい内容が増えてきた
■製造現場の反応が変わった。「こういう用途で使いたい企業が問い合わせてきた」という話をすると、現場の担当者が関心を持つようになった
■社内でのサイトの位置づけが変わった。「お荷物」から「営業の入口として使えるかもしれない」という認識に少しずつ変わっていった
数字で証明できる「成功」ではありません。
けれど、サイトの存在意義が変わったことは確かでした。
本当の学び:私が気づくのに時間がかかった理由
この経験を振り返ると、一番の失敗は「改善の方向性を間違えていた」ことではないと思っています。
本当の失敗は、「誰のためのサイトかを最初に問わなかった」ことです。
SEOの知識があった。
Webサイトの改善経験もあった。
だから「まずアクセスを増やすこと」が正しい手順だと思い込んでいました。
しかし、ターゲットが間違っていれば、アクセスが増えても意味はありません。
これはWebサイトに限った話ではないと思います。
「誰に・何を・どう届けるか」を先に決めないまま手を動かし始めると、どこかで壁にぶつかります。
もうひとつの学び:「現場の一言」を軽く見ていた
「このサイト、うちの会社に本当に必要なんですか?」
この一言を聞いた時、私は少しムッとしていました。
今思えば、それは自分の設計への自信があったからではなく、答えられない問いに焦りを感じていたからだと思います。
現場の担当者の言葉は、多くの場合、表面的な不満の裏に本質的な問いを含んでいます。
あの一言がなければ、私は同じ方向で改善を続けていたかもしれません。
なぜこの経験がターニングログにつながるのか
「経営者のターニングログ」を作ったのは、こういった経験を記録しておきたかったからです。
成功した話ではありません。
途中で方向を変えた話です。
間違えて、問い直して、少しずつ変えた話です。
同じような状況にいる人に「こういう経緯でこう考えた」ということを残しておければ、何か参考になるかもしれない。
そう思っています。
コロナ禍で急いで立ち上げたECサイトが今も「お荷物」になっているなら、一度立ち止まって問い直してみてください。
「このサイトは、誰のために、何のために存在しているのか」
「このサイトは、誰のために、何のために存在しているのか」
その答えが変われば、改善の方向性も変わります。
ECサイトの設計や方針転換について、具体的な考え方は以下の記事にまとめています。
あわせて読んでいただければ幸いです。
この体験をもとにした解決策はこちら
▶ 実績記事「集客がうまくいく会社は、広告より先に「誰に売るか」を決めていた」
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