売上が戻ってきた時に気づいた。BtoCをやめてBtoBに振り切った判断の裏側

体験記録

この記事を読み終わるころには…

「うまくいかないからやめる」ではなく「役割を問い直す」という判断の違いを、実体験から理解できます

BtoC→BtoB転換の判断に至るまでの社内の空気感と思考の変化がわかります

このサイトで発信している「事業転換・売り方の見直し」というテーマの根拠となる実務経験を確認できます

結論

転換の判断は「うまくいかなかったから」ではなく、本業が回復した時に「このEC事業は何のためにあるのか」を問い直したことから始まった

BtoCをやめた後、社内の反応が最初に変わった。「お荷物」から「営業の入口」へ、見え方が変わった

転換は「捨てること」ではなかった。積み上げてきたものを、より意味のある形で使い直す再定義だった

当時やっていたこと(改善の延長)

BtoCもBtoBも両立しようとした
SEO・商品ページ・KPIを改善し続けた
社内の「お荷物」という空気は変わらなかった
転換の判断(本業回復がきっかけ)
「このEC事業は何のために存在するのか」を問い直した
BtoC販売チャネル → BtoB営業の入口へ役割を再定義
社内の反応が変わり、問い合わせの質が変わった

「やめる」と「変える」は違う

事業転換というと、

「うまくいかなかったから撤退した」

という話に聞こえるかもしれません。

しかし、私が経験した転換は少し違いました。

売上が戻ってきた時に、方向性を変えたのです。

正確には、事業をやめたわけではありません。

これまで積み上げてきたものを活かしながら、その役割を根本から変えました。

振り返ると、あの時必要だったのは改善ではありませんでした。

転換です。

この記事は体験記録です。「改善で解決できる問題」と「方向転換が必要な問題」をどう見極めるかについては、 改善を続けても成果が出ない。方向転換が必要な時もあるにまとめています。

背景:コロナ禍で始まったBtoC向けEC事業

本業を補うために始まった

当時、本業である製造業のBtoB取引はコロナ禍の影響を大きく受けていました。

既存顧客からの発注が減少し、先行きも見えない。

そこで始まったのが、一般消費者向けのEC事業でした。

自社商品をインターネットで販売し、新たな売上の柱を作ろうという取り組みです。

コロナ禍に同じ判断をした製造業は少なくなかったと思います。

私が担当した時の状況

私が運営を引き継いだ時、ECサイト自体は既に立ち上がっていました。

しかし売上はほとんどありませんでした。

運用ルールは統一されていない。
在庫管理も複雑になっている。

製造現場からは、「通販対応で生産計画が乱される」という声も出ていました。

まず必要だったのは整理でした。

運用を整備し、商品ページを見直し、SEO対策を進める。

私はその改善に取り組みました。

転換前:改善で乗り越えようとしていた時期

SEOで検索順位は上がった

SEO対策を続けた結果、狙っていたキーワードで検索順位1位を獲得しました。

アクセス数も増えました。

しかし、売上はほとんど変わりませんでした。

詳しくは別の記事で書いていますが、原因は明確でした。

サイトが集めていたのは、本来の顧客ではなかったのです。

その経験から、「BtoC向け販売サイト」ではなく、「BtoB営業の入口」としてサイトを活用する方向へ舵を切り始めました。

法人向けサンプル販売を導入し、見込み顧客との接点を作る設計へ変更していったのです。

それでもまだ改善の延長だった

完全に割り切れなかった理由

ここまで積み上げたSEO資産が惜しかった

BtoC売上を手放すことに不安があった

完全な方向転換を決断する勇気がなかった

→ BtoCもBtoBも両立しようとしていた。改善で解決しようとしていた。

ただ、この時点ではまだ完全に割り切れていませんでした。

今思えば、改善で解決しようとしていました。

しかし本当に必要だったのは、改善ではなく転換でした。

転機:本業の売上が戻ってきた

本業回復によって起きた構造の変化

コロナ禍:本業の取引が激減 → ECで売上を補う必要があった
本業が回復 → ECのBtoC通販対応が製造現場の負荷になり始めた
「なぜこのEC事業を続けるのか」という問いが社内で生まれた
「本業のBtoB事業を強くするため」という答えが出た

状況が大きく変わった

しばらくして、会社を取り巻く環境が変わりました。

コロナ禍が落ち着き、本業のBtoB取引が回復し始めたのです。

既存顧客からの受注が戻る。
新規案件も増える。

製造現場は再び忙しくなっていきました。

会社全体にとっては良い変化です。

しかし、EC事業には新たな課題が生まれました。

ECサイトがお荷物になり始めた

製造現場から、「通販対応を減らしてほしい」という声が増え始めました。

少量注文への対応が、生産計画を乱していたからです。

経営層からも、「EC事業を今後どう位置付けるのか」という議論が出るようになりました。

その時、ようやく気づいたのです。

どれだけ改善しても、「BtoC通販事業」という方向性そのものが、本業と噛み合っていないのではないか。

問題はやり方ではありませんでした。

方向性だったのです。

問い直したこと:「この事業は何のために存在するのか」

改めて考えました。

このECサイトは何のために存在するのか。

コロナ禍に始めた理由は、本業を補うためでした。

そして今、本業は回復しています。

では、なぜ続けるのか。

答えは一つでした。

本業であるBtoB事業を強くするためです。

つまり、「ECサイト単体で利益を出すこと」ではなく、「ECサイトを営業インフラとして活用すること」が本来の役割だと気づいたのです。

気づいたこと:「改善」と「転換」は別物だった

当時の私は、この二つを混同していました。

改善とは、今の方向性の中で精度を高めることです。

SEOを改善する。
商品ページを改善する。
導線を改善する。

一方で転換とは、方向性そのものを変えることです。

BtoC販売チャネルから、BtoB営業インフラへ。

役割そのものを作り替えることです。

方向性が間違っている時、改善を続けても限界があります。

私は長い間、その状態にいたのだと思います。

判断:BtoCを手放し、BtoBへ振り切る

手放したもの

手放したもの

一般消費者向け販売(訴求を法人向けサンプルに切り替え)

KPIとしての「EC売上」(法人問い合わせ件数・商談数・見積依頼数に変更)

一般消費者が検索するキーワードへのSEO(企業調達担当者向けに軸足を移した)

まず一般消費者向け販売を事実上やめました。

商品販売は残しましたが、訴求は法人向けサンプル購入へ切り替えました。

さらにKPIも変更しました。

評価基準を変えたことで、サイトの役割も明確になりました。

また、一部のSEO流入も意図的に手放しました。

アクセス数は減りましたが、それは想定内でした。

残したもの

残したもの(積み上げてきたものを使い直した)

サイトとドメイン(SEOで積み上げた信頼性は法人集客にも活きる)

サンプル販売の仕組み(BtoB文脈に組み直して継続)

会社案内・同梱物の設計(法人向けに再設計して活用)

一方で、積み上げたものを捨てたわけではありません。

サイトは残し、ドメインもそのまま使いました。

変えたのは手段ではありません。

目的です。

転換後に起きた変化

社内の反応が変わった

製造現場から「それなら協力できる」という声が出た

「余計な仕事」から「本業につながる活動」という認識に変わった

問い合わせの質が変わった

「商品について教えてください」(個人向け・以前)

「法人で継続購入したい」「見積をお願いしたい」(転換後)

件数は減ったが、本業につながる問い合わせの割合が大きく増えた

社内の空気が変わった

最も印象的だったのは社内の反応でした。

現場にとっても、「余計な仕事」ではなく、「本業につながる活動」になったのです。

問い合わせの質が変わった

問い合わせ内容も変わりました。

転換後は、

「法人で継続購入したい」
「見積をお願いしたい」
「量産対応は可能ですか」

といった問い合わせが増えました。

件数だけを見れば減少しましたが、本業につながる問い合わせの割合は大きく増えました。

量ではなく質が変わったのです。

ここに、事業転換の手応えがありました。

本当の学び:事業転換に必要な3つの視点

転換前後の比較

転換前:BtoC販売チャネルとして売上を追う
転換後:BtoB営業の入口として本業との接続軸をつくる
変えたのは「目的」だけ。
サイト・ドメイン・サンプル販売の仕組みは形を変えて活きている。
転換は否定ではなく、再定義だった。

1. 事業の目的を定期的に問い直す

環境は変わります。

だからこそ、「なぜこの事業を続けているのか」を定期的に確認する必要があります。

続けること自体が目的になっていないか。

これは常に問い直すべきだと思います。

2. 改善で解決できる問題かを見極める

改善で解決できる問題もあります。

しかし方向性そのものがズレている場合、改善だけでは限界があります。

その時に必要なのは転換です。

3. 転換は捨てることではない

BtoCをやめたからといって、積み上げたものを捨てたわけではありません。

SEO資産。
サイトの信頼性。
サンプル販売の仕組み。

それらは形を変えて活きています。

転換とは否定ではなく再定義です。

積み上げた資産を、より意味のある形で使い直すことなのだと思います。

なぜこの経験がターニングログにつながるのか

このサイトを作った理由も、まさにここにあります。

経営者の転機を取材していると、

下請けから脱却した話。
BtoCからBtoBへ転換した話。
主力事業を入れ替えた話。

さまざまな転換に出会います。

共通しているのは、

「うまくいかなかったから変えた」

ではなく、

「環境の変化に合わせて役割を問い直した」

という点です。

その経緯と判断を記録しておくことが、同じ局面に立っている経営者の参考になると思っています。

事業転換を経験した経営者のストーリーは、以下からご覧いただけます。

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Web業界・人材業界・製造業界で、営業・Web制作・人材提案・EC運営に従事。個人事業主として運営したWebメディアでは、SEO設計・ライティング・サイト運営を一人で行い、立ち上げ3年でサイト経由の取引額1億円を突破。雑誌・ラジオ・テレビ出演も経験。複数の業界で培った実務経験と一次情報をもとに、小規模企業の集客・営業・顧客育成・既存顧客深耕・事業転換など、売上づくりの現場で得た経験と、その背景にある構造を発信している。

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