新規を追い続けた先に待っていたもの。売り上げの安定には既存顧客の深掘りが必要だった

体験記録

この記事を読み終わるころには…

新規開拓を追い続けた先に何が起きるのか、実体験から理解できます

「現状維持」と「深耕」がどう違うのか、気づきの経緯とともに整理できます

このサイトで発信している「既存顧客の深耕」というテーマの根拠となる実務経験を確認できます

結論

新規開拓を追い続けると、売上は常に波を打ち、安定しない状態が続く

定期訪問や関係維持は必要だが、それだけでは「現状維持」であって「深耕」ではない

顧客の内部を知らずに続ける関係は、担当者が変わるだけで消えることがある

新規開拓だけを続けた時に起きていたこと

新規顧客を獲得する
既存顧客のフォローが薄くなる
売上が常に波を打ち、安定しない
また新規を探す(繰り返し)
既存顧客を深耕した時
既存顧客との関係を広げる
継続・増員・単価向上が同時に進む
売上の基盤が安定する

新規を追い続けていた時期の話

営業の世界には、どこか共通した空気があります。

「新規開拓こそ営業の仕事だ」

という空気です。

新規顧客を獲得すれば評価される。
大型案件を取れば社内で話題になる。

一方で、既存顧客との関係を丁寧に育てても、それは当たり前のこととして扱われがちです。

私自身も、その空気の中で営業をしてきました。

常に次の見込み客を探す。
次の商談を作る。
次の案件を追う。

しかし、新規開拓を追い続けるほど、ある問題が大きくなっていきました。

売上が安定しないのです。

案件が取れる月もあれば、ほとんど成果が出ない月もある。

数字は常に波を打ち、気が付けば「次の新規」を探し続ける状態になっていました。

そんな状況を変えるきっかけになったのが、既存顧客の深耕でした。

この記事は体験記録です。既存顧客との関係をどう広げるかの具体的な考え方は、 新規開拓より成果が出た。既存顧客を深掘りするという考え方にまとめています。

最初の気づき:既存営業は新規営業より圧倒的に話が早い

Web制作会社で感じた違和感

個人飲食店向けのWeb制作会社で営業をしていた頃、新規営業と既存営業の両方を担当していました。

既存営業では、

  • ホームページのリニューアル提案
  • 予約機能の追加
  • SNS連携の導入

などを提案していました。

やっていて感じたのは、新規営業との難易度の違いです。

既に取引がある。
こちらを知ってもらえている。
一定の信頼関係ができている。

その状態から話を始められるため、商談は驚くほどスムーズでした。

今振り返ると、この時点で答えは見えていました。

しかし当時は、

「既存営業は楽だな」

程度にしか考えていなかったのです。

人材派遣会社で気づいた「現状維持の罠」

既存顧客を担当した当初

引き継いで続けていた営業スタイル

定期訪問をする

困り事を聞く

技術者の状況を確認する

→ 関係は良い。契約も続いている。それなのに売上は伸びなかった。

既存顧客深耕の本質を理解したのは、その後に勤務した技術者専門の人材派遣会社でした。

担当した顧客は既に取引が始まっていました。

複数の技術者が常駐し、毎月契約が継続している状態です。

一見すると安定していました。

しかし実際には、売上はほとんど増えていませんでした。

前任者のやり方を続けてみた

当初は前任者のやり方をそのまま引き継ぎました。

定期訪問をする。
困り事を聞く。
技術者の状況を確認する。

いわゆる関係維持型の営業です。

もちろん必要な仕事です。

ただ、それだけでは何も変わりませんでした。

関係は良い。
契約も続いている。
それなのに売上は伸びない。

担当して数か月が経った頃、ようやく疑問を持ち始めました。

気づいたこと:「顧客の中」をほとんど知らなかった

現状維持(やっていたこと)

定期訪問・困り事ヒアリング・空き人材の紹介
関係は維持できる。でも売上は増えない。

深耕(必要だったこと)

顧客の内部構造を把握する
先回りした提案・横展開・関係の広がり
一社から生まれる売上が拡大する

売上が増えない理由は単純でした。

私は顧客のことを知っているつもりで、実際には何も知らなかったのです。

ほとんど把握できていなかったこと

どの部署が人手不足なのか

次にどんな案件が始まるのか

どんなスキルが不足しているのか

採用計画はどうなっているのか

→ 顧客を理解していない状態での関係維持は、深耕ではなく現状維持だった。

だから提案も売り手都合になります。

「空いている技術者がいます」という提案しかできないのです。

顧客を理解していない状態で関係維持だけを続ける。

それは既存顧客深耕ではありませんでした。

単なる現状維持です。

そして現状維持は、時間とともに競争力を失っていきます。

方針転換:「顧客の中に入る営業」に変えた

「顧客の中に入る」設計に変えた

従来:空き人材を個別配属 → 顧客の内部が見えない → 提案がズレる
現場の核になる技術者を先に配置
「来月から工程が増える」などの内部情報が入る
先回りした提案ができる → 採用率が上がる
横展開のきっかけもつかみやすくなった

核になる人材を配置した

そこで営業の考え方を変えました。

まず優先したのは、顧客先で中心的な役割を担える技術者を配置することです。

単なる人員補充ではありません。

現場の情報が自然と集まるポジションを作ることが目的でした。

すると、これまで見えなかった情報が入るようになりました。

「来月から工程が増える」
「新しい案件が始まる」
「教育担当が不足している」

こうした情報が早い段階で把握できるようになったのです。

提案のタイミングが変わった

情報が入ると営業の質が変わります。

これまでは、「人が空いています」という後追い提案でした。

しかし、「来月から忙しくなると聞いています。今から準備しませんか」という先回りした提案ができるようになったのです。

顧客から見れば、自社の状況を理解してくれるパートナーに見えます。

結果として提案の採用率が上がりました。

既存顧客の横展開を意識した

もう一つ意識したのが横展開です。

例えばA部署で成果が出ている場合、同じ会社のB部署やC部署にも似た課題が存在することがあります。

そこで、「A部署ではこうした形でお役に立てていますが、他部署でも同じような課題はありませんか」

という提案を行うようになりました。

これは新規開拓とは大きく違います。

既に社内で実績があるため、「あの部署が使っている会社なら安心だ」という信頼が働くからです。

ゼロから関係を作る必要がありません。

営業効率は圧倒的に高くなります。

結果として起きたこと

契約継続率が向上した。現場が安定し、顧客との関係が強くなったから

単価交渉が通りやすくなった。顧客への貢献度が高まると、価格だけで比較されにくくなったから

増員提案の成功率が上がった。顧客の内部状況を把握しているため、必要になる前に提案できるようになったから

一社から得られる売上が大きく伸び、新規開拓への依存が下がった

方針転換後、売上構造が変わりました。

新規顧客を増やしたわけではありません。

既存顧客を深く理解し、関係を広げた結果です。

本当の学び:既存顧客深耕に必要な3つの視点

1. 現状維持と深耕を区別する

定期訪問をする。
困り事を聞く。
関係を維持する。

これらは大切です。

しかし、それだけでは売上は増えません。

既存顧客深耕とは、「どこを広げるか」を考える営業です。

2. 顧客の内部を知る

深耕営業の出発点は情報です。

担当者との関係だけでは足りません。

部署の課題。
採用計画。
設備投資。
新規案件。

そうした情報を把握することで初めて提案の精度が上がります。

3. 横展開を設計する

既存顧客の中には、まだ接点のない部署や担当者がいます。

そこへどう広げるか。

この視点を持つだけで、一社から生まれる売上は大きく変わります。

小規模製造業こそ既存顧客深耕が重要

担当者との関係に依存した営業のリスク

担当者が異動・退職するだけで、関係がリセットされる

窓口が一人しかいないため、情報が偏り提案精度が上がらない

横展開のきっかけをつかめず、取引が広がらない

→ 必要なのは「担当者との関係」ではなく「会社との関係」をつくること。

製造業では、一度取引が始まると長く続く傾向があります。

だからこそ既存顧客との関係が重要です。

複数部署との接点を持つ。
複数担当者と関係を築く。

それが既存顧客深耕の本質だと私は考えています。

なぜこの経験がターニングログにつながるのか

新規開拓への疲弊は、多くの製造業経営者が抱える悩みです。

展示会に出る。
営業メールを送る。
飛び込み営業をする。

しかし成果が安定しない。

その原因の一つは、既存顧客へのアプローチが現状維持で止まっていることかもしれません。

新規開拓は必要です。

ただし、それだけでは売上は安定しません。

既存顧客を深耕しながら新規開拓を進める。

この両輪が揃って初めて、営業は持続可能になります。

既存顧客深耕の具体的な方法は、以下の記事にまとめています。

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Web業界・人材業界・製造業界で、営業・Web制作・人材提案・EC運営に従事。個人事業主として運営したWebメディアでは、SEO設計・ライティング・サイト運営を一人で行い、立ち上げ3年でサイト経由の取引額1億円を突破。雑誌・ラジオ・テレビ出演も経験。複数の業界で培った実務経験と一次情報をもとに、小規模企業の集客・営業・顧客育成・既存顧客深耕・事業転換など、売上づくりの現場で得た経験と、その背景にある構造を発信している。

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