この記事を読み終わるころには…
✓営業件数を増やしても成果が変わらない理由を、運営担当者の実体験から理解できます
✓「量より設計」という考え方が、なぜ2つの異なる営業現場で共通して機能したのかがわかります
✓このサイトで発信している「営業の仕組み化」というテーマの根拠となる実務経験を確認できます
結論
■営業の成果は、件数より「誰に・何を・どの順番で届けるか」の設計で決まる
■成果が出ない営業は、努力が足りないのではなく、動き方の設計が止まっている
■再現性のある営業は、個人の感覚ではなく、設計と記録の積み重ねでつくられる
よくある対応
「もっと件数を増やせ」と言われ続けた
営業をやっていると、一度はこんな言葉を聞くものです。
「とにかく数をこなせ」
「足で稼げ」
「断られてからが本番だ」
私自身も、長い間それを信じていました。
架電数を増やせば商談が増える。
訪問件数を増やせば受注も増える。
そう考えて、とにかく行動量を積み上げていました。
ところが、ある時から違和感を覚えるようになります。
件数は増えているのに、売上の伸び方が変わらない。
むしろ、疲労だけが積み重なり、成果は頭打ちになっていく。
振り返ると、問題は行動量ではありませんでした。
足りなかったのは「設計」です。
この記事では、私が二つの営業現場で経験した失敗と改善を通じて、「量より設計」という考え方にたどり着いた経緯をお話しします。
製造業の営業担当者や、営業の仕組みづくりに取り組む経営者の参考になれば幸いです。
この記事は体験記録です。ここで得た気づきをもとにした具体的な解決策は、 営業件数を増やしても成果は変わらない。現場で見えてきた共通点にまとめています。
最初の現場:個人飲食店専門のWeb制作会社
当時の状況
私が最初に営業を経験したのは、個人飲食店向けのホームページ制作会社でした。
担当していたのは新規営業全般です。
テレアポリストの作成から架電、アポイント取得、訪問商談、契約書回収まで、一連の流れをすべて一人で担当していました。
会社は小規模で、整備された営業マニュアルもありません。
ある意味シンプルで、「とにかく電話をかける」「会いに行く」という文化でした。
最初にやったこと
当然、私も電話をかけ続けました。
リストを片っ端から当たり、アポイントが取れれば訪問する。
断られれば次の店へ進む。
件数だけ見れば、それなりに動いていたと思います。
しかし、成果は安定しませんでした。
受注できる月もあれば、何をやっても決まらない月もある。
なぜ結果が出るのか。
なぜ結果が出ないのか。
自分でも説明できませんでした。
転機:「リスト」の質を変えたら何かが変わった
気づいたきっかけ
ある時、受注できた案件をまとめて振り返ってみました。
すると、いくつかの共通点が見えてきたのです。
受注できた案件の共通点
■開店から数年が経ち、ホームページが古くなっている
■食べログやぐるなびには掲載しているが、自社サイトを持っていない
■近隣に競合店が増え、集客に課題を抱え始めている
逆に、どれだけアプローチしても受注につながらない店舗にも共通点がありました。
どれだけアプローチしても受注につながらない店舗の共通点
■最近ホームページを作ったばかり
■経営者がWebに関心を持っていない
■既に付き合いのある制作会社がいる
その時、ようやく気づきました。
「電話のかけ方ではなく、電話をかける相手を間違えていた」
ということに。
リストの作り方を変えた
変える前
それ以降、リスト作成の基準を見直しました。
手当たり次第に飲食店を集めるのではなく、
「今まさにホームページの必要性を感じている可能性が高い店」
を優先してリスト化するようにしたのです。
開業から3〜5年が経過している。
サイトが古い。
口コミは増えているのに情報発信が弱い。
そうした条件を設けて選定すると、不思議なことが起きました。
架電数は減ったにもかかわらず、商談数はほとんど落ちなかったのです。
ここで初めて、「量より設計」の重要性を実感しました。
提案内容も変わった
さらに面白かったのは、リストが変わると提案内容まで自然に変わったことです。
サイトが古い店舗には、
「機会損失が発生しているかもしれません」
という切り口が響く。
自社サイトを持たない店舗には、
「グルメサイトだけでは伝えきれない情報があります」
という話が刺さる。
相手の状況が見えているからこそ、提案の入口も変わるのです。
結果として、商談の温度感そのものが変わりました。
件数を増やすよりも、
「誰に、何を、どの順番で届けるか」
を考える方が、はるかに成果につながったのです。
次の現場:技術者専門の人材派遣会社
環境が変わっても同じ問題があった
次に経験したのは、技術者専門の人材派遣会社での営業でした。
提案先は自動車部品メーカーをはじめとする製造業の大手企業。
いわゆるBtoB営業です。
業界は変わりましたが、営業現場で求められることは同じでした。
架電数。
訪問件数。
新規開拓件数。
やはり数字を追う文化がありました。
前任者のやり方を引き継いで見えた限界
既存顧客を引き継いだ当初は、前任者のやり方をそのまま続けました。
定期訪問を行う。
困り事を聞く。
技術者が空けば紹介する。
いわゆる関係維持型の営業です。
もちろん悪いやり方ではありません。
ただ、それだけでは売上は伸びませんでした。
顧客との関係は良好なのに、契約数も単価も増えない。
そこで改めて顧客を観察してみることにしました。
気づいたこと:「顧客の構造」が見えていなかった
振り返ると、私の提案は常にこちら都合でした。
「空いている技術者がいます」
「こんな人材が紹介できます」
という提案ばかりだったのです。
一方で、
- どの部署が人手不足なのか
- 次にどんな案件が始まるのか
- どのスキルが不足しているのか
といった情報は、ほとんど把握できていませんでした。
関係はある。
しかし、顧客の内部構造は見えていない。
だから提案のタイミングも内容もズレていたのです。
変えたこと:「核になる人材」を先に配置する
核になる人材を先に配置する設計
そこで考え方を変えました。
まずは顧客先で中心的な役割を担える技術者を配置する。
単なる人員補充ではなく、現場の核になる人材を送り込むことを優先したのです。
すると、見える景色が変わりました。
どこが忙しいのか。
どの工程に課題があるのか。
次にどんなプロジェクトが始まるのか。
顧客の内部情報が自然と入ってくるようになったのです。
情報が増えると提案精度も上がります。
「来月からこの工程が忙しくなるそうなので、今のうちに準備しませんか」
そんな先回りした提案ができるようになりました。
結果として起きたこと
■退職率が下がった。核になる人材が現場を安定させ、周囲の技術者も長く働ける環境ができたから
■契約継続率が向上した。顧客との関係が強くなり、単価交渉も通りやすくなった
■増員提案の成功率が上がった。顧客の内部状況を把握しているため、必要になる前に提案できるようになったから
■結果として、一社から年間で大きな売上を生み出せる関係を構築できた
方針転換後、いくつもの変化が現れました。
訪問件数を増やした成果ではありません。
「誰を配置し、何を見て、どの情報を集めるか」
という設計を変えた成果でした。
2つの現場から得た共通の学び
成果が止まる場面に共通していたこと
■動いているのに、何が効いていて何が効いていないかを記録していない
■件数や訪問数といった「行動量」で自分の仕事を評価している
■うまくいった経験を次の行動に反映させる仕組みがない
■担当者個人の感覚や経験に依存しているため、再現性が生まれない
私が二つの営業現場で学んだことはシンプルです。
営業は、行動量の前に設計がある。
誰に届けるのか。
何を届けるのか。
どの順番で届けるのか。
これが曖昧なまま件数だけを増やしても、成果は伸びません。
一方で設計が固まると、行動量は初めて成果につながります。
量が不要なのではありません。
量を活かすために設計が必要なのです。
だから今でも私は、「もっと件数を増やすべきか」ではなく、「今の設計は正しいか」を先に考えるようにしています。
なぜこの経験がターニングログにつながるのか
このサイトで営業の仕組み化をテーマにしている理由も、まさにここにあります。
営業は才能の問題ではありません。
再現性のある設計の問題です。
誰に、何を、どの順番で届けるのか。
これを整理できれば、営業は属人化から少しずつ抜け出していきます。
小規模製造業では、経営者自身が営業を担っているケースも少なくありません。
だからこそ、行動量だけに頼らない仕組みが必要です。
このサイトでは、私自身の経験をもとに、営業を再現可能な形に変えるヒントを発信していきたいと思っています。
営業の仕組み化については、以下の記事でも詳しく解説しています。
この体験をもとにした解決策はこちら
▶ 実績記事「営業件数を増やしても成果は変わらない。現場で見えてきた共通点」
営業の仕組み化の具体的な方法はこちら

