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結論
- 売上目標は願望ではなく計算で決める。「前年比◯%」には根拠がない
- 足し上げるのは3つ。①手元に残したい現金 ②ビジョン実現への投資額 ③年間の借入金返済額+α
- ざっくりで十分。正確さより「根拠を説明できること」が目的
このサイトの歩き方|売上を安定させる3ステップ
- ステップ1の1本目:売上より先に決めること。「どういう会社にしたいか」の考え方
- ステップ1:会社の方向性を決める(この記事はここ・2本目)
- ステップ2:売り方を決める
- ステップ3:実行する(作業手順書はこちら)
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この記事では、以下の内容を解説します。
- なぜ「前年比◯%」では危ないのか
- 数字①手元に残したい現金
- 数字②ビジョン実現への投資額
- 数字③年間の借入金返済額+α
- 3つを足して売上目標にする計算例
前の記事では、「どういう会社にしたいか」を紙1枚に書き出しました。
この記事はその続きで、決めた方向性を「数字」に翻訳する記事です。
先にお断りしておくと、私は財務や会計の専門家ではありません。
ここで扱うのは、決算書を精密に分析する話ではなく、「社長が自分の言葉で説明できる売上目標を、電卓1つで作る」ための考え方です。
正確な数字が必要な場面は、顧問税理士に確認してください。
なぜ「前年比◯%」では危ないのか
売上目標を「去年より少し上」で決めている会社は、実際には多いと思います。
目標を立てているだけでも立派で、それ自体を責めるつもりはありません。
ただ、「前年比◯%」には一つ大きな弱点があります。
根拠がないので、達成できなくても誰も困らない数字になってしまうことです。
なぜ10%なのか、なぜ倍なのかを聞かれても、答えられない。
すると未達でも「まあ、しょうがない」で終わり、目標が判断や行動につながりません。
これは社長だけの問題ではありません。
私自身、会社員として営業をしていた頃、「今期は前期の倍ね」という目標を渡されて、ずっと思っていました。
「その数字の根拠を教えてくれ」と。
根拠がわからない目標のために、行動量だけを増やせと言われても、正直、心はついていきませんでした。
あのときの感覚は、立場が変わった今でも忘れていません。
逆に言えば、「この売上が必要なのは、現金をここまで戻して、この投資をして、返済を続けるためだ」と説明できる目標なら、社長自身の迷いが減るのはもちろん、社員への伝わり方も変わります。
数字①手元に残したい現金|月商の3〜6ヶ月分
1つ目の数字は、「手元にいくら現金を置いておきたいか」です。
目安は月商の3〜6ヶ月分。
たとえば月商1,000万円の会社なら3,000万〜6,000万円です。
これだけあれば、大口の取引先が急に減っても、機械が壊れても、数ヶ月は落ち着いて手を打てます。
逆に手元資金が薄いと、目の前の入金のために利益の出ない仕事でも受けざるを得なくなり、悪循環に入ります。
計算はシンプルです。目標とする手元現金から、今の手元現金を引いてください。
その差額が、「今年、利益として積み増したい金額」の1つ目になります。
すでに十分ある場合は、この項目はゼロで構いません。
よくあるつまずき
「3〜6ヶ月分なんて遠すぎる」と感じたら、いきなり6ヶ月分を目指す必要はありません。
まず「今より1ヶ月分多く」でも立派な目標です。
差額が大きい場合は、数年かけて積み増す前提で今年の分だけを数字にしてください。
数字②ビジョン実現への投資額
2つ目は、前の記事で決めた方針を実現するために、今年使いたいお金です。
たとえば「特定の1社への依存から抜ける」と決めたなら、新規開拓のためのホームページ改修や展示会出展の費用。
「社員が自分の判断で動ける会社にする」なら、教育や設備の費用。
金額の精度は要りません。
「方針のために今年これだけ使う」と自分で決めることに意味があります。
思いつかなければ、この項目もゼロで構いません。
ビジョンの記事をまだ読んでいない方は、先にそちらから読むことをおすすめします。
▶ 先に読む記事:売上より先に決めること。「どういう会社にしたいか」の考え方
数字③年間の借入金返済額+α
3つ目は、すでに決まっている支出、つまり借入金の年間返済額です。
これは通帳や返済予定表を見れば正確にわかります。
なぜこれを入れるかというと、返済の原資は利益から出ていくのに、売上目標を考えるときに忘れられがちだからです。
返済分を見込まない目標を立てると、目標を達成したのに現金が減っていく、ということが起こります。
「+α」は納税分などの余裕です。
ここも厳密でなくて構いません。返済額の1〜3割程度を上乗せしておけば十分です。
3つを足して、売上目標にする
ここまでの3つの数字を足すと、「今年必要な利益」が出ます。
架空の例で1社分、通して見てみます。
- 数字①現金の積み増し:300万円(目標4,000万円-現在3,700万円)
- 数字②方針への投資:200万円(展示会出展とホームページ改修)
- 数字③年間返済額+α:500万円(返済400万円+余裕100万円)
合計すると、必要な利益は年間1,000万円です。
あとは、この利益を出すために必要な売上に割り戻します。
自社の利益率がざっくり10%なら、売上目標は1億円。
5%なら2億円です。
利益率は直近の決算書の経常利益率で構いませんし、わからなければ税理士にひとこと聞けば済みます。
もし計算した売上目標が現実離れして見えたら、目標を疑う前に利益率の低さが原因になっていないかを見てください。
売上を増やすことと同じくらい、利益率の改善(値上げ・仕事の入れ替え)が効くことがわかるのも、この逆算の効用です。
「理屈はわかった。でも実際に何から始めればいいのか分からない」
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決算書も利益率もよくわからないのに、本当に計算できるのか?
この記事を読んで「理屈はわかるけど、うちは数字関係を税理士に任せきりだし……」と感じた方もいるかもしれません。
実は、最初から正確な数字を揃える必要はありません。
この逆算の目的は、精密な経営計画を作ることではなく、「なぜこの売上が必要か」を自分の言葉で説明できるようになることだからです。
スタート地点として必要なのは、この3つだけです。
最小構成:この3つから始める
通帳を見て、今の手元現金を書き出す
月商の何ヶ月分あるかを見るだけ
返済予定表から年間返済額を書き写す
計算不要。写すだけでいい
2つを足して、ざっくり利益率で割ってみる
利益率がわからなければ税理士にひとこと聞く
最初から精密な経営計画を目指す必要はありません。
まずは「通帳と返済予定表を眺める」という小さな一歩からでも、売上目標の見え方は変わり始めます。
根拠のない目標は、行動量だけを増やす
根拠のない目標の下で起こりがちなのが、「とにかく訪問件数を増やせ」という行動量頼みの営業です。
私自身、営業件数を増やしても成果が変わらなかった経験があります。
そのとき現場で見えてきたことを、こちらの記事に書いています。
▶ 実際の経験談:営業件数を増やしても成果は変わらない。現場で見えてきた共通点
まとめ|説明できる目標だけが、行動につながる
- 「前年比◯%」は根拠がなく、未達でも誰も困らない数字になりやすい
- 足し上げるのは3つだけ。残したい現金の積み増し分+方針への投資+年間返済額+α
- 合計を利益率で割り戻せば売上目標。ざっくりで十分、目的は「説明できること」
売上目標が決まったら、次は「その売上を、どの顧客から、どの順番で作るか」です。
次の記事では、理想的な売上構成と、既存→休眠→新規という優先順位について解説します。
このサイトの歩き方|売上を安定させる3ステップ
- ステップ1の1本目:売上より先に決めること。「どういう会社にしたいか」の考え方
- ステップ1:会社の方向性を決める(この記事・2本目)
- ステップ2:売り方を決める
- ステップ3:実行する(作業手順書はこちら)
売上を仕組みで作る全体地図|この記事の現在地
会社の方向性が言葉になったら、STEP2「売上構成と優先順位」へ進んでください。どの売り方(手段)を選ぶかは、その後で決めるのが遠回りしない順番です。
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売上目標逆算シート(PDF・全9ページ)
この記事の計算を、そのまま自社の数字でなぞれる記入シートです。お名前とメールアドレスをご記入いただくと、その場でダウンロードできます。
- 手元現金の記入欄(月商の何ヶ月分かがすぐわかる)
- 投資額・返済額の記入欄(どこを見て写すかの案内つき)
- 売上目標の計算欄(利益率で割り戻すだけ)
- 記入例(この記事の架空1社分をそのまま掲載)
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