※この物語は、小規模製造業で実際によくある課題や経験をもとに再構成したフィクションです。
前回まで:自社のホームページを友人に見せた恒一。「他の会社と同じに見える」と言われ、反論できない自分に驚いた。(第4話を読む)
友人の言葉が、頭から離れなかった。
何日かすぎたある夜、仕事を終えて車を走らせていると、ふと、あの日のことを思い出した。
主要取引先から呼び出された日。
帰り道で寄った、あのラーメン屋。
色々なラーメンが揃っていたが、何を選べばいいか分からなかった。
迷った末に頼んだ醬油ラーメンは、普通だった。
「一回でいいな」
そう思って店を出た。それだけだった。
ハンドルを握ったまま、赤信号で止まった車の中で、ふと気づいた。
――あれと、同じじゃないか。
何でもあるは、悪くない。
でも、どれがおすすめか分からない。
何の特徴もなければ、次はない。
もしかして、うちの会社も同じなのか。
ラーメン屋をやっていた頃を思い出した。
オフィス街の一角だったから、ラーメン屋は多くなかった。
でも、飲食店という括りで見れば、競合はいくらでもあった。
選んでもらうには、「この店じゃなければ」と思ってもらえる理由が必要だった。
信号が青に変わり、アクセルを踏んだ。
今の自社は、どうだ。
ホームページにも、ECの商品ページにも、展示会のパンフレットにも、できることは全部書いてある。
でも、どこにも、「この会社じゃなければ」と思ってもらえる理由が書いてない。
友人の言った通りだった。
じゃあ、うちは……何が得意なんだろう。
今日の主人公のノート
□ 分かったこと
・会社にも「選ばれる理由」が必要だった(あのラーメン屋と同じ)
□ まだ分からないこと
・うちの会社は、何が得意なのか
□ 次に調べること
・(まだ分からない。とにかく考え続けるしかない)
次回予告
「何が得意なのか」を考え続けるまま、発注減の期日は近づいてきます。焦りから商談を詰め込みすぎた恒一を、深夜帰宅すると妻が待っていました。
▶ 第6話:「ラーメン屋の頃は、どんな店にしたかったの?」
営者の実体験はこちら
私も以前、ホームページや広告、SEOなど「どうやって集客するか」ばかり考えていた時期がありました。
しかし成果が出た会社を振り返ると、共通していたのは集客方法ではなく、「誰に売るのか」が先に決まっていたことでした。
あなたの経験をお聞かせください
あなたの会社は、「選ばれる理由」を言葉にできますか。
「この会社じゃなければ」と言ってもらえた経験があれば、ぜひ聞かせてください。

