その市場に未来はあるか。小さな会社の市場の選び方

この記事を読み終わるころには…

✓ 市場を「大きさ」で選んではいけない理由がわかる
✓ 小さな会社のための3つの判定基準がわかる
✓ 1社依存・系列依存から抜ける市場の探し方がわかる

3つの問いと4つの流れを1枚で埋める「新規開拓の設計メモ」を、記事の最後で無料配布しています。
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結論

  • 市場は「大きさ」ではなく、「自社が勝てる場所があるか・伸びているか・届く手段があるか」で選ぶ
  • 前の記事で決めた理想の顧客が、どの市場にどれくらいいるかを確かめてから動く
  • 1社依存・系列依存から抜ける道は、隣接業界と「同じ技術が効く別の用途」にある
「大きい市場だから」で選ぶと
大手と同業他社がひしめく土俵に入る
比較されて価格勝負になる
✕ 市場は大きいのに、利益は残らない
「自社が勝てる場所」で選ぶと
小さくても、自社の強みが効く場所を選ぶ
比較されにくく、適正価格で取引できる
✓ 小さな会社でも利益が残る

新規顧客開拓の3つの問い|この記事の位置

この記事では、以下の内容を解説します。

  • 市場を「大きさ」で選んではいけない理由
  • 小さな会社の3つの判定基準
  • 理想の顧客が何社いるかの確かめ方
  • 1社依存・系列依存から抜ける市場の探し方

前の記事で、理想の顧客を「1社の顔」が浮かぶまで絞りました。

次の問いは、「その顧客は、どの市場にどれくらいいるのか?」です。

どんなに理想的な顧客像を描いても、その顧客がごくわずかしかいない市場、あるいは縮んでいく市場では、努力が報われません。

ターゲット設定と市場設定は、必ずセットで考えます。

市場を「大きさ」で選んではいけない

新しい市場を考えるとき、多くの人がまず「市場規模はどれくらいか」を調べます。

ですが、小さな会社にとって、市場全体の大きさはほとんど意味がありません。

市場全体を相手にするわけではないからです。

必要なのは、会社が食べていけるだけの受注が確保できる、自社に合った場所があるかどうかです。

むしろ大きい市場には、大手と同業他社がひしめいています。

同じ土俵に後発で入れば、比較され、価格で削り合うことになります。

小さな会社の市場選びは、「大きい場所」ではなく「自社が勝てる場所」を探すことです。

市場を見極める3つの判定基準

基準1|自社が勝てる場所があるか
市場の中に、自社の技術・対応力が「他では代わりが効きにくい」と評価される顧客層がいるか。大手が面倒がってやらない小ロット・短納期・試作などは典型例
基準2|伸びているか(少なくとも縮んでいないか)
縮む市場では、顧客も予算も減り続け、努力が目減りする。展示会の出展社数や業界ニュースの投資動向に、伸び縮みのサインが出る
基準3|届く手段があるか
その市場の顧客に、自社が現実的に接触できる手段(展示会・紹介・検索・既存顧客経由など)があるか。届く手段のない市場は、存在しないのと同じ

候補の市場が見えてきたら、この3つで判定します。

3つとも満たせる市場だけが、時間とお金をかける価値のある市場です。

注意したいのは、この3つは「市場規模のデータを集める」話ではないということです。

基準1は自社の受注実績から、基準2・3は現場の肌感覚と簡単な調査で判断できます。

完璧な市場分析より、次の章の「何社いるかを数える」作業のほうが実践的です。

理想の顧客は、その市場に何社いるかを数える

市場設定を具体的な作業に落とすと、やることはシンプルです。

前の記事で書いた理想の顧客像に当てはまる会社が、候補の市場に実際に何社あるかを数えます。

調べ方は難しくありません。

業界団体の会員名簿、展示会の出展者一覧、検索で見つかる企業リスト。

このあたりを突き合わせるだけで、おおよその数は見えてきます。

目安として、理想の顧客像に近い会社が数十社見つかれば、小さな会社の新規開拓先としては十分な市場です。

逆に、数えてみて5社しかないなら、ターゲット像か市場のどちらかを見直すサインです。

この往復が、問い①「どこの誰に」の設計作業そのものです。

1社依存・系列依存から抜ける市場の探し方

方向1|隣接業界
今の顧客の「隣」にある業界。例:自動車部品の加工をしているなら、同じ品質基準を求める建設機械・農業機械へ。商習慣や求められる品質が近く、実績がそのまま信用になる
方向2|同じ技術が効く別の用途
自社の技術を「何のための技術か」で言い換えて、同じ困りごとを持つ別の用途を探す。例:金属の精密洗浄技術→医療器具・分析機器の部品洗浄へ。技術はそのまま、相手だけが変わる

「今の取引先と同じ業界しか知らない。別の市場と言われても想像がつかない」。

そう感じる方のために、探す方向を2つに絞っておきます。

ゼロから未知の業界に飛び込む必要はありません。

どちらの方向も、今の仕事で磨いてきたものを武器にしたまま、取引先の構成だけを変えていく道です。

依存から抜けるために必要なのは、新しい能力ではなく、今の能力が効く別の場所を見つけることです。

ここで一度立ち止まって・・・

「考える手順はわかった。でも書き留めておく場所がほしい」

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完成までは、この記事の3基準を候補市場ごとに◯✕で書くだけでも十分です。
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今の市場を捨てて、移るということなのか?

ここまで読んで、「今の取引先を無下にして別の市場に移れという話か」と感じた方もいるかもしれません。

それ違います。
今の市場は、会社を支えてきた足場です。
足場を手放す必要はありません。

ここで話しているのは、売上の2本目の柱をどこに立てるかという話です。

既存の取引を続けながら、売上の2〜3割を目標に新しい市場を育てる。

この配分なら、今の取引先との関係も、新しい挑戦への余力も、両方守れます。

市場を選び直した経験|勝てない場所で戦い続けていた

私自身、かつてBtoCの市場で戦い続けていた時期があります。

振り返れば、そこは市場としては大きくても、自社の強みが評価されにくく、価格で比較され続ける場所でした。

市場そのものを選び直し、自社の対応力が正当に評価されるBtoBに軸足を移したことで、同じ技術・同じ人員のまま収益の構造が変わりました。

どこで戦うかの選択は、どう戦うかの工夫より先に効いてくる。それを痛感した記録です。

まとめ|市場は「大きさ」ではなく「勝てる場所」で選ぶ

大きさで選ぶ市場
大手と同じ土俵で比較される
価格勝負になり、利益が残らない
勝てる場所で選ぶ市場
3基準(勝てる・伸びる・届く)で確かめてから動く
理想の顧客が数十社いれば十分
小さな会社でも適正価格で選ばれる
  • 市場の大きさは、小さな会社にはほとんど意味がない。必要なのは自社に合った場所
  • 判定基準は3つ。勝てる場所があるか・伸びているか・届く手段があるか
  • 理想の顧客が何社いるかを数え、依存から抜ける道は隣接業界と別用途に探す

これで問い①「どこの誰に」の答えが揃いました。相手が決まった。

では、今なぜ自社が選ばれているのか?

次の記事では、問い②「何を売るか」の出発点になる「強み」を扱います。

売上を仕組みで作る全体地図|この記事の現在地

STEP1|方向性を決める
STEP2|売上を増やす順番を決める
受注後は「既存顧客」の枝に戻り、サイト全体が一本の循環になります

この記事で手が止まったら、地図の一つ手前の記事へ戻ってみてください。そもそもどの枝に進むか迷ったら、STEP2「売上構成と優先順位」からやり直せます。

「新規開拓の設計メモ」を無料配布中

ターゲット設定と市場設定は、紙に書いて往復して初めて形になります。

3つの問いと4つの流れを1枚で埋められる記入メモを無料で用意しました。

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新規開拓の設計シート(PDF・全19ページ)

この記事の考え方を、そのまま自社の言葉で書き込める記入メモです。お名前とメールアドレスをご記入いただくと、その場でダウンロードできます。

  • 3つの問いの記入欄(どこの誰に・何を・どう売るか)
  • 市場の3基準チェック欄(勝てる・伸びる・届くを◯✕で判定)
  • 4つの流れの設計欄(認知・収集・接触・継続を何で担うか)
  • 記入例(架空の製造業1社分)

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